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「紹介して」で終わらせない!リファラル採用を経営戦略に変える3つの設計

2026.11.03
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「紹介して」で終わらせない!リファラル採用を経営戦略に変える3つの設計
人材紹介会社を通じて人材を採用すると、高額な成功報酬が発生します。相場は候補者の年収の30%~40%ともいわれ、採用コストは経営に重くのしかかっています。そこで最近、関心を集めているのが、現職社員が知人を紹介する「リファラル採用」ですが、ただ社員に声かけをするだけでは効果的に運用することはできません。

著者:社長online編集部 吉嶺菜穂

INDEX

「リファラル採用」導入企業は約半数

東京商工リサーチが行った調査によると、2026年現在、リファラル採用を制度として取り入れている企業は49.2%、中小企業に限ると48.3%と、もはや一般的な採用手法となっていることがわかっています。

また同調査では、中小企業における採用手法で、最も定着率が高いとされたのが「リファラル採用(19.0%)」でした。

理由は、現職社員の紹介で採用した人材は、会社の文化にマッチしている可能性が高く、長く働いてくれる傾向にあるためです。

大きなメリットは、費用対効果の高さ

職種や契約によって料率は異なりますが、人材紹介会社やエージェント経由で採用すると、おおむねその人材の年収の30%~40%を成功報酬として支払います。たとえば、年収500万円の人材であれば、成功報酬は150万円~200万円となります。

この高額な採用コストは、経営者の頭を悩ませる大きな要因の1つとなっています。

一方で、リファラル採用においては、社員に紹介料を支払います。その報酬は「1万円~10万円」と設定している企業が約20%、「紹介報酬なし」としている企業も少なくありません。

紹介報酬だけが採用コストのすべてではありませんが、圧倒的な金額差があること、そして先述した定着率を考えると大きなメリットがあるといえます。また、転職サイトに登録していない人材にアプローチできるという点も、メリットの1つです。

リファラル・アルムナイ率50%以上を達成する、介護法人の取り組み

では、リファラル採用を取り入れるには、どのようにしたらよいのでしょうか。

リファラル採用に注力し、ここ数年の中途採用者の56%をリファラル(紹介)とアルムナイ(退職者の再雇用)で採用している、ある介護法人の例をとって、成功の秘訣をご紹介しましょう。九州で高齢者福祉施設を運営しているその法人では、年間数十人の人材をリファラル採用しています。

ご存じのとおり介護業界の採用環境は厳しく、2025年時点の有効求人倍率は3.97倍と、他の業種と比較しても人手不足が慢性的です。そんな中でも同法人では次のように語っています。

「人材紹介会社や派遣会社をほとんど利用せずに人材を確保できている」

現在、九州各地に複数の事業所を抱えている同法人は、2000年代に事業を急拡大させました。しかしその当時、事業拡大のために職員を大量に採用しており、その結果、組織内にひずみが生じ、数年後にはなんと全職員の20%が一斉に離職したという苦い経験を持っています。

その経験を踏まえ、経営陣は、人材採用・育成・定着の向上へと本格的な取り組みを開始しました。職場環境と福利厚生の改善や人材育成にてこ入れをし、その一環として「リファラル採用の強化」に取り組んでいきました。

同法人が行っているのは、次のような取り組みです。

  • 1. リファラル規程の整備
  • 2. 職員への制度説明
  • 3. 制度周知ポスターの作成
  • 4. 報奨金の渡し方の工夫
  • 5. リターン規程の整備
  • 6. 情報コーナーの設置
  • 7. 採用の流れシート
  • 8. リファラル名刺カード
  • 9. リクルーティングブック
  • 10. インタビュー記事の作成 など

このほかにも、リファラル採用を浸透させるために、全部で約30の施策を継続的に行っているのだといいます。

これらの施策をすべて行えたら理想的ですが、最初から網羅的に実践するにはハードルが高いという声も聞こえてきそうです。そこでまずは、戦略的にポイントを押さえて取り組み、徐々に仕組み化・習慣化していくことが肝要です。

紹介者・候補者・企業にメリットをつくる、3つの設計

では、経営者はまず何を整えるべきでしょうか。ポイントは3つです。

  1. リファラル採用のルールづくり、報酬の設定
    社員に紹介を依頼する前に、まずは紹介者が「安心して紹介できる制度」を整える必要があります。対象者の範囲、紹介報酬(金額と支払い時期)を決めます。その際、あまり複雑にせず、「社員が迷わず理解できる」よう明確にしておきましょう。制度整備に着手してから運用開始までの目安は4カ月程度です。
  2. 活性化のためのツール開発
    リファラル制度を整えたら、社員への周知を行います。ここでもポイントとなるのは「紹介者となる社員が迷わない」仕組みであることです。初回の声かけで、どんな内容を伝えればよいのか・どんな文言で声をかけるのか。候補者に声をかけてから採用まで、実際にどのような流れで進むのか。
    同法人では「声かけガイドブック」「カジュアル面談の手引き」など、それぞれのフェーズで社員が迷わず進められるマニュアルを用意しました。
    また、そもそも社内での認知度を高める必要があるので、社内に掲示するポスターや、情報が入手できるイントラネットなども整備しましょう。
  3. 飽きさせない工夫をしながら、継続的に社内へ浸透
    制度説明を一度して終えるのではなく、社内掲示やイントラネットで募集職種、紹介の流れ、採用事例を定期的に知らせます。ツールは作ったきりではなく、短いスパンでリニューアルし配り直していくことも有効です。制度運用から数年経てば、リファラル採用で入社してきた人材が活躍しているはずなので、インタビュー記事などを作成するのもよいでしょう。

小さく始めて、長く運用することが重要

リファラル採用は、まず小さく始めることができます。たとえば、採用に苦戦していて、社員も仕事内容を説明しやすい1職種や1拠点を対象にする方法です。最初から制度を作り込むより、実際に動かしながら自社に合う形を探すほうが進めやすいでしょう。

効果を見る際も、初めから多くの指標をそろえる必要はありません。まずは紹介数、面談数、採用数を記録し、採用後は6カ月、1年と様子を見ます。運用に慣れてきたら、協力した社員数や採用1人あたりの費用も含めると、他の採用手法との違いが見えやすくなります。

紹介経由でも通常応募でも基本的な選考基準をそろえ、「紹介は応募のきっかけであり、採用を約束するものではない」と共有しておくことで、社員も知人へ声をかけやすくなります。

経営者が最初に考えたいのは、紹介報酬の金額だけではありません。社員が知人に伝えたい自社の魅力は何か。反対に、説明しにくい点はどこか。社員と話してみるだけでも、制度づくりや職場改善の手がかりが得られます。すべてが整ってから始める必要はありません。小さく試し、社員や候補者の声を聞きながら、職場と採用の仕組みを少しずつ整えていくこと。その積み重ねが、リファラル採用を自社の採用力へ育てていきます。

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