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業務効率化を実現する、システム導入と進め方のコツ

2026.10.31
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業務効率化を実現する、システム導入と進め方のコツ
皆さまの会社でも、業務効率化を目的にDXやAIの導入が進められているかと思いますが、システムやツールを導入したにもかかわらず、十分な成果を得られていないケースも少なくありません。高額な投資が無駄にならないための「DX導入前にやっておくべきこと」とは? これまで多くの会社でDXによる業務効率化を支援してきましたが、うまくいかない要因の多くは「自社の既存業務を正確に把握していないこと」にあります。 これからの企業経営において、デジタル技術の活用は不可欠です。求める成果を得るために、DXにどのように取り組んでいくべきでしょうか。

解説:株式会社船井総合研究所 シニアコンサルタント 武田 宗丈

INDEX

システム導入の前に不可欠な「業務の可視化」

ベンダーから提案されるシステムは、お客さまの要望を満たすための機能が豊富に備わっていることが多く、結果的に「なんでも寄せ集め」のような、使いにくいものが完成してしまう傾向があります。そうして、いつの間にか誰も使わなくなったシステムやツールが残ってしまうことも多々あるのですが、身に覚えはないでしょうか?

DX(デジタルトランスフォーメーション)の本来の目的は、デジタル技術を用いて業務を飛躍的に効率化することです。そのため、私たちがコンサルティングをする際には、システム導入の前に必ず「業務の棚卸し」を行うよう推奨しています。たとえば、「月に1度しか使わない業務」や「時間経過とともに不要になった業務」まで、システム化しようとしていないでしょうか?

あらゆる業務をシステム化しようとすると、膨大な数の要件が生じ、結果として使いにくいシステムができあがってしまうのです。

業務の可視化をするには、まずは各部署の担当者に「日報を書く」「商談をする」といった行動ベースでタスクを洗い出してもらい、それぞれにかかっている時間や担当者をExcelなどで一覧化します。


※業務一覧表のイメージ。なんの業務にどれくらいの時間がかかっているかを把握します(編集部作成)

ベテラン社員の暗黙知となっている業務は言語化しにくいこともありますが、

「普段の業務で大変な部分はどこですか」

と丁寧にヒアリングすることで、課題が引き出しやすくなります。

業務の整理、「やめる決断」は経営者の役割

業務の可視化ができたら、次に優先順位をつけ、不要な業務を整理します。ここで基本となるのが「ECRS(排除・結合・交換・簡素化)」の原則です。

タスクを可視化したあとは、どの工程に手を加えれば最大の効果が得られるかを検討します。その際、不要なタスクの排除や類似業務を統合し、無駄をそぎ落とした業務全体のロードマップを描くと、組織全体の業務効率を飛躍的に高めることができます。

なかでも、長年の慣習で行ってきた無駄な作業を「やめる(排除する)」という決断は、現場の判断だけでは難しいため、経営者による意思決定が求められます。

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☑ 「スモールスタート」のススメ
☑ 社内へシステム定着度をグッと高める「呼びかけ方」

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大規模刷新より「スモールスタート」でプロジェクトに慣れる

業務の整理がついたとしても、いきなり「基幹システムの総入れ替え」のような大掛かりなDXを目指すのはリスクを伴います。なぜなら、社内のメンバーがプロジェクト型業務の運営に慣れていないことが多く、ベンダーの言いなりになってしまったり、通常業務に追われて後回しになってしまったりするからです。

そこでおすすめしているのが、まずは小さなプロジェクトで経験を積むことです。従業員100名規模のある企業では、5年後に基幹システムを刷新することをゴールに据えつつ、最初の1年目にあえて「名刺管理ツール『Sansan』の導入」といった、シンプルで影響範囲の限定されたプロジェクトからスタートしました。CRM化といった大きな話ではなく、「Sansanを使って名刺データを取り込む」ことがゴールです。

これはシンプルに見えるかもしれませんが、はじめの一歩として重要です。サービスの選定から要件定義、ベンダーとの交渉、社内周知といった一連のプロセスを小規模に経験することで、担当者がプロジェクトの進め方に慣れていきます。この積み重ねが、数年後の基幹システム刷新や、CRM導入を無理なく進める土台してい領域となっていきます。

社内への定着は、アナログな呼びかけが効果的

システムは導入して終わりではありません。当然ですが、現場に定着して初めて効果を発揮します。

定着を促すために効果的なのは、週1回程度、利用状況を振り返るミーティングを設けたり、朝礼や定例会議で継続的に声かけを行うことです。なんともアナログな手法ですが、実際にはいちばん効果的です。こうした地道なフォローを続けると、早い企業では2~3か月で新しい仕組みが定着していきます。

営業部門などは「システムを使わなくても個人のスキルで成果が出せてしまう」ので、新しいツールの浸透がほかの部門に比べて遅れがちです。こうした場合は、(やや強引ではありますが)「システムで日報を提出しなければ交通費の精算ができない」といった、業務フロー上やらざるを得ない仕組みを整えることも1つの方法です。

また、プロジェクトのキックオフ時には、経営者自らが「会社にとって重要な取り組みである」とメッセージを発信して号令をかけると、推進力が増すことがわかっているので、ぜひプロジェクト開始時には直接従業員に声かけをしていただきたいです。

明日から始められる業務改善への第一歩

DXやAI導入時に「とりあえず新しいツールを探す」のはおすすめできません。現状の業務を見直さずにシステムだけを新しくしても、「現場の担当者が結局Excelで別管理をしている」といった事態が起こりやすいからです。

どの企業でも「システムを入れたい」と思うに至ったきっかけや理由があるはずです。まずはその背景を言語化しておくことが非常に大切です。「なぜ今なのか」「何を解決したいのか」を掘り下げることで、本来のゴールが明確になります。システム導入は目的ではなく、そのゴールに到達するための手段だからです。

正しい順番で業務効率化を進めた企業では、結果的に、当初想定していたシステムとは違うシステムを導入することになったケースも珍しくありません。

また、経験則からいえるのは、いきなり完璧なシステムを求めるのではなく、「機能が少し足りない」と思える程度のスモールスタートが、実運用には適していることが多いということです。壮大な絵を描くことも大切ですが、数年がかりで取り組むことを前提にして、まずは目の前の実務を効率化することを考えるほうがおすすめです。

<プロフィール>株式会社船井総合研究所 シニアコンサルタント 武田 宗丈


BtoB企業を中心に、マーケティング・インサイドセールスを活用し、営業成果を向上させる組織・体制作りの支援や、Webサイト/システム企画・構築・活用支援に従事。現在は、船井総研DX支援本部にて、AIを活用した営業効率の向上および成果向上のための戦略・計画策定、実行を支援。