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縮小市場を生き抜く!成熟業界の常識を打ち破る「独自の思想」をもつ3社の勝ち筋

2026.05.30
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縮小市場を生き抜く!成熟業界の常識を打ち破る「独自の思想」をもつ3社の勝ち筋

多くの成熟業界と同様に、住宅業界も着工数が減少するなど厳しい状況にあります。このような状況下で持続的に成長を遂げている企業は、他社とは違う「独自の思想」に基づいた経営を実践しています。本記事では、船井総合研究所のコンサルタント白戸俊祐氏が語る3つの企業の事例をもとに、これからの時代に成功する社長に共通する考え方や戦略を解説します。

INDEX

宮本武蔵の「離」


画像:PIXTA

「構えあって、構えなし」
剣豪・宮本武蔵は著書『五輪書』で、いかなる状況にも対応できる真の強さをそう表現しました。「型(構え)」は重要だが、固執すれば隙が生まれ、死に直結する――。
この教訓は、日本の伝統的な成長プロセス「守破離(しゅはり)」と、企業が辿る成長のステップにそのまま重なると私は考えています。

他社の成功モデルを模倣し、組織の土台を固める「守」。
その型を自社流に応用し、一定 of 成果をあげる「破」。
しかし、武蔵が警告したのはその先です。どんなに優れた「構え(ビジネスモデル)」も、その型に安住して抜け出せなくなった瞬間、変化する市場では致命的な弱点に変わります。この「破」の段階で足踏みしている社長は少なくありません。突き抜ける社長は、最後の一線を超えます。それが経営の「離」です。

業界の常識や、自ら築き上げた成功パターンという「枠」から抜け出す。武蔵が「構えなし」と言い切ったように、既存のルールから自由になり、独自の思想で勝負を決する。
私はこれまで経営コンサルタントとして、そのように「離」を体現し、他社には真似できない独自のポジションへと飛躍していく社長を数多く見てきました。

「他社のコピー」で成長できる時代は終わった


画像:PIXTA

現在の住宅業界は、まさに成熟市場の縮図と言える状況にあります。着工数は減少を続け、市場全体が縮小傾向にあります。
私がコンサルティングの現場で見てきた限り、十数年前までは、売上10億円以下の企業が「地域一番」を目指す際、先行して成功している企業のビジネスモデルをそのまま真似るだけで成長できた例も多くありました。

当時は、人をたくさん採用し、出店を重ね、とにかく「うまくいっているビジネスモデルを真似て伸びていく」という手法が通用していたのです。
しかし、その時代は完全に終わりを迎えています。
勢いと模倣(コピー)だけで伸びてきた企業が、一時期の成長は実現できたものの、その後安定せずに衰退へ転じていくケースを、私は数多く目にしてきました。すでに各地域にはトップ企業が確立されており、後発が同じ戦略で追随しても、もはや差別化が不可能な状況が生まれているからです。

一方で、コロナ禍という激動を経てなお、この成熟期にさらなる成長を遂げている企業も存在します。彼らに共通しているのは、「独自の伸び方」をしているという点です。
ただし、独自路線を追求する前に、事業計画の策定や販促計画の立案といった「経営の基礎」がしっかりと押さえられていることが不可欠です。いくら独自のやり方を実践しても、基礎がなければ砂上の楼閣に過ぎません。
冒頭で触れた「守破離」で言えば、「守」と「破」を経ずにいきなり「離」だけを目指しても、決して成功はしないということです。

確固たる基礎を固めた上で、業界の常識にとらわれない「離の道」とはなにか――ここからは、独自のアプローチで成功している3社の事例を紹介します。

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▼ この記事の後半では、以下の実践的なノウハウを公開しています

☑ 【LTV最大化】アフターフォロー特化で「紹介受注5割」を生み出す逆張り戦略
☑ 【商品力の極意】営業マン不要?YouTube動画を2次利用したコツコツ型集客の全貌
☑ 【組織構築と攻めの出店】業界縮小期に営業力をエンジンとして圧倒的成長を遂げる手法

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”アフターフォローへ特化”で「LTV(顧客生涯価値)」を最大化


画像:PIXTA

「アフターフォロー」を最重要視する逆張りの経営

多くの住宅会社は、マーケティングによる集客強化や営業力の向上――つまり「売るための活動」に経営資源を集中させます。営業会議では数字で社員を追い込み、トークマニュアルを整備し、とにかく契約を取ってくる営業マンを育てるというやり方です。しかし、この企業はまったく異なるアプローチを取っています。営業会議で数字を詰めるようなことは一切行わず、とにかく「お客様のためにいい暮らしを提供しよう」という思想を徹底しているのです。

同社が特に力を入れているのが「アフターフォロー」、家を建てた後の顧客対応です。アフターメンテナンスはもちろんのこと、オーナー向けイベントの開催を通じて顧客との関係性を継続的に構築し、「一生涯お付き合いしていく」姿勢を貫いています。
この地道な取り組みによって、受注の約半分がお客様からの紹介となっており、新規集客に多額の費用をかけなくとも、口コミで自然と顧客が集まる好循環が生まれているのです。

地域に根差した「経済圏」とLTVの最大化

さらに注目すべきは、同社が「地元商圏から絶対に出ない」と明確に決めている点です。全国展開で規模を追うのではなく、地域の暮らしをよくすることに経営の軸を据えています。
新築住宅を核としながらも、リフォーム、不動産、家具・インテリア雑貨へと事業を多角化。経営用語で言えば、これは「LTV(顧客生涯価値)」を最大化する戦略そのものです。住宅という「点」を売って終わりにするのではなく、お客様の生涯にわたる「暮らしの予算」を自社のサービスで満たしていく。将来的には、オーナーが経営する飲食店なども巻き込んだコミュニティづくり――いわば独自の「経済圏」を形成しようとしています。専用アプリも開発し、グループ内でポイントが利用できる仕組みも構築中です。

家を建てた親の子どもが、また同じ会社で家を建てる。そうした世代を超えた関係性の構築こそが、この企業の目指す姿であり、他社には簡単に真似できない「離」の経営と言えるでしょう。

「営業力」ではなく「商品力」で急成長を遂げる


画像:PIXTA

「売れる商品」を作るという発想の転換

住宅会社は基本的なセオリーとして集客や営業に莫大なエネルギーを注ぎ、優秀な営業マンを育てようとします。
この社長が持っていたのは、その”セオリー”に対する明確な問題意識でした。
そもそも率直に言えば、見た目のデザインにしても、性能にしても、商品自体が、お客様の買いたくなるような魅力あるものになっていないのではないか? という指摘です。

そこで同社が取った戦略は、業界の常識とは真逆のものでした。住宅業界では通常、優秀な営業マンを他社から引き抜くことが成長の定石とされています。しかし同社は、営業は未経験者でも構わないと割り切り、その代わりに「営業力がなくても売れる魅力ある商品」を作ることに全力を注いだのです。
優秀な設計士を採用し、商品力を高めるための投資を惜しみませんでした。住宅のデザインや間取り設計において他社との明確な差別化を実現し、市場に認められた結果、急成長を遂げていったのです。

YouTubeによるコツコツ型の集客戦略

商品力へのこだわりは、集客手法にも表れています。多くの住宅会社が広告に多額の費用を投下する中、同社は「広告を出しても消耗するだけ」と判断し、YouTubeでの情報発信に注力しました。
注目すべきは、1本あたり30分を超えるルームツアー(新築住宅を検討しているお客様に向けた紹介)動画です。一般的なウェブコンテンツとしては長尺に映りますが、一生に一度の数千万円の買い物を検討している顧客にとっては、紙の広告1枚では判断できない情報が詰まった貴重なコンテンツとなっています。実際に、再生回数が数十万回に達する動画もあるといいます。

この戦略の本質は、一朝一夕では実現できないという点にあります。動画コンテンツは何年もかけてコツコツと積み重ねなければ効果を発揮しません。しかし、同社は他社が広告費を投下している間に、この地道な取り組みを継続してきたからこそ、低コストで質の高い集客を実現できているのです。まさに「本質的な価値」を追求し続けた結果と言えるでしょう。

強い営業組織で攻め続ける


画像:PIXTA

最後に紹介するのは、これまでの2社とはまったく異なるアプローチで成功している住宅会社の事例です。
同社の戦略はシンプルかつ大胆です。「営業力がある強い人間がいれば伸びる」という思想のもと、優秀な営業マンを大量に引き抜き、業界全体が縮小・撤退する中で積極的な出店攻勢をかけています。十数年前には年間数十棟規模だった同社は、現在では年間数百棟を超えるまでに成長しました。

二つ目の事例の企業が「商品力さえあれば営業力は不要」としたのとは対照的に、この企業は「強い営業組織こそが成長のエンジンである」と確信しています。社内には営業教育の仕組みが整備され、ベテランの営業指導者が若手を育成する体制が確立されています。

また、社長自身が社員と毎日のように飲みに行き、密なコミュニケーションを取ることで、ファミリーのような結束力を持つ組織を築いています。その結果、離職率も極めて低く抑えられています。
人口が多いエリアを活かした戦略でもありますが、業界が守りに入る中で「攻め続ける」という独自の思想を持ち、それを徹底して実行している点こそが成功の本質です。これもまた、既存の枠にとらわれない独自の「離」の形と言えるでしょう。

独自の「離」を貫き通す


画像:PIXTA

ここまで紹介した3社の戦略を振り返ります。
①顧客との永続的な関係構築とアフター重視で地域No.1を実現
②商品開発への集中投資とYouTube活用で急成長
③強い営業組織の構築と積極出店で市場を拡大

三者三様のアプローチですが、そこには明確な共通点が存在します。
一つは、業界の常識にとらわれず、独自の思想を確立していること。どの企業も「他社がこうしているから」ではなく、「自分たちはこう考えるから」という揺るぎない軸を持っています。
もう一つは、その思想に基づいた自社の「勝ち筋」を見出し、徹底的に突き詰めていること。中途半端に複数の施策を並行するのではなく、自社が信じる一本の道を深く掘り下げています。

そして、私が現場で彼らと接する中で気づいた、興味深い共通点がもう一つあります。それは、成功する社長は皆さん「おしゃべり」だということです。
彼らは自分たちの考え方や思想を、社員に対しても外部に対しても、繰り返し繰り返し語り続けます。毎回同じ話をする――それほどまでに、自社の思想を共有することに情熱を注いでいるのです。

確固たる思想を持ち、それを頑固なまでに発信し続ける力。これこそが、成熟市場で勝ち抜く経営者に不可欠な「離」の本質なのかもしれません。

執筆者プロフィール

  • 白戸俊祐(しらと しゅんすけ)
  • 株式会社船井総合研究所の経営コンサルタント。住宅業界をはじめとする成熟市場における企業の業績向上・成長戦略立案において豊富な実績を持つ。現場主義に基づいた、独自の「勝ち筋」を導き出すコンサルティングに定評がある。

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