TOKYO PRO Market上場!事故物件・超過疎地物件で年商78億円、「成仏不動産」マークスライフの実力
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2026.05.12
東京・日本橋に本社を構える不動産会社マークスライフは、創業10年目、この4年で売上13倍の78億円を達成した急成長企業。
同社の特徴は、一般的な不動産会社が敬遠しがちな「事故物件」「超過疎地物件」といった、いわゆる取扱いが"難しい物件"も主力として扱っている点にあります。
利幅が小さく手間のかかる領域にあえて踏み込みながら、なぜこれだけの成長を実現できたのでしょうか。5月7日に東京証券取引所 TOKYO PRO Marketに上場を果たしたばかりの花原浩二社長に訊きました。
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画像提供:マークスライフ株式会社 代表取締役 花原浩二氏
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「儲からない物件」に正面から向き合う
同社のサービスの中でも特に注目を集めているのが、人が亡くなった不動産、いわゆる「事故物件」を取り扱う「成仏不動産」です。事故物件に限らず、「訳アリ物件」と言われるものは心理的なハードルから一般的に市場で敬遠されがちですが、物件の本来持っている価値を見出し、特殊清掃やご供養、必要に応じてリフォームを行うことで、付加価値をつけて市場に流通させています。
また、離婚時の不動産売買に特化した「中立不動産」、再建築不可物件や農地など売却困難な「負動産」を投資家向けに紹介するプラットフォーム「富動産市場」なども展開。権利関係が複雑な物件、過疎化した地方エリア、山間部の不動産など、多くの同業他社が手を出さない領域を積極的にカバーしているのが特徴です。
マークスライフでは、事故物件に特化したプラットフォームなどを運営していますが、ネット上での取引だけでなく、実際の売買に向けての活動も他社とは一線を画す行動量を持っています。地方の空き家や農地の売却活動では、社員が直接、現地に出向き、近隣住民への聞き込みや、森林組合・農業法人への飛び込み営業を重ねます。
「あそこの田んぼなら、誰々さんが買うかもしれない」——こうした情報は現地に赴かなければ得られません。そうした足で稼いだリアルな情報を積み上げて、成約に結びつけています。
空き家や過疎地物件を含めた「負動産」の存在は今や社会問題になっていますが、効率を優先する企業においては「利益が小さく工数に見合わない」と切り捨てられてしまいがちです。
それでもマークスライフの社員がこうした泥臭い営業を実践できているのは、社員一人ひとりが会社の理念である「世のために。人のために。」を自分ごととして捉え、それを実践する企業文化が醸成されているからでしょう。
こうして、利幅が小さいながらも他社が手を付けない物件で圧倒的な取引件数を積み上げてきたことで、マークスライフは直近4年で、売上13倍、年商約78億9500万円を達成しています。
財務の強さが成長を支える——50行超との取引を築いたファイナンス戦略
不動産売買を主軸とする企業にとって、金融機関からの融資は経営の根幹とも言えます。物件の仕入れには物件価格以外にも多額のコストが伴うため、資金調達力がそのまま事業規模を左右するためです。
現在、マークスライフのファイナンス部は3名で構成されており、全員が銀行出身のプロフェッショナル。取締役でファイナンス部 部長の鈴木氏は地方銀行で法人融資を担当した経歴を持っています。
その手腕により、現在は取引先金融機関が全国50行を超えるまでに拡大させました。財務担当からファイナンス部として拡大した現在、部内には「金融機関担当」の専任者を置いて、全国各地の金融機関を新規開拓しています。
(左)取締役 兼 ファイナンス部 部長 鈴木成知氏
(右)代表取締役 花原氏
鈴木氏が融資交渉の冒頭で必ず行うのは、会社の理念説明。なぜ事故物件や過疎地の空き家を扱うのか、なぜこのエリアに支店を出すのか——事業背景の説明から入るのだといいます。
もちろん、それだけで融資が下りるほど甘い話ではなく、経営が安定していることを表す必要があります。
その一つの方法として、例えば、同社では事故物件を心理的瑕疵のレベルで5段階に分類、過去の取引実績をすべて洗い出した上で、利益率・回転率を明確に提示しているのだといいます。そうすることで、成仏不動産サービスの安定性を伝えることが可能になります。
金融機関の担当者が稟議を通しやすい資料を整えられる力は、そのまま経営の安定性に直結します。現在、月間の個別融資相談件数は100件近くに上りますが、高いクオリティで多数の融資相談に対応できているのも、プロフェッショナル人材が在籍しているからこそ。
鈴木氏が交渉の冒頭で理念を語ることを続けるのは、支店の担当者が理念に共感すれば、社内で能動的に推進してくれる存在になることを、経験上知っているからでしょう。
創業時から意識していた「理念経営」
マークスライフの経営理念の原点は、1995年の阪神淡路大震災にあります。神戸で青春時代を過ごした花原社長は、震災直後、コンクリートの瓦礫と化した街を目の当たりにしました。そこで、人々の命を守っている住宅とインフラの重要性を痛感し、「地震に負けない家を作りたい」という思いで大和ハウス工業に入社します。
その後、父の死が花原社長の価値観をさらに強固なものにしました。葬儀で僧侶から聞いた言葉、「親の仕事は子に教育すること。そして人生最後に、命をもって命の限りを伝えることだ」——が胸に刺さり、「限りある人生だからこそ、世の中の役に立つ仕事、社会課題の解決に振り切りたい」という思いが強くなったのだといいます。
ハウスメーカーに17年半勤める中での転機は、兵庫県三木市の大型分譲地「ネオポリス」の再生プロジェクト。「街を救いたい」という思いを抱えながらプロジェクトを推進するも、横浜への異動が決まり、道半ばで現場を離れることになります。横浜転勤後もオールドタウン化していく前任地が頭から離れず、「空き家再生や地方創生に関わる事業をやりたい」という思いが強くなり、会社を辞め起業を決意。
そして、創業にあたって最初に考えたのが「理念経営」でした。
理念浸透の核心は「一貫性」にある
世の中には、立派な理念を掲げながら形骸化している企業が少なくありません。その差はどこにあるのか。花原社長はこう語ります。
「一貫性が重要だと思うのです。理念が生まれた経緯、その理念通りに事業を作っているか、理念に沿うような採用基準・評価基準があるのか。経営者自身の振る舞いもそうです。良い理念を思いついても、言っていることとやっていることが違うと、理念は意味をなさないのだと思います」
マークスライフでは、「世のために。人のために。」という理念のもとに、すべての事業が社会問題を解決するための「手段」として構想されています。
また、同社では、理念を行動に落とし込む10の行動指針を設けています。
マークスライフ株式会社 10の行動指針
- 1. 人として正しいことをする
- 2. お客様以上にお客様のことを考える
- 3. 好き嫌いではなく、必要かどうかで判断する
- 4. 出来る方法を考えつくす
- 5. 早さで信頼を獲得する
- 6. 起こること全てを自責で受けとめる
- 7. 大変な時ほど笑顔で元気をだす
- 8. 言葉と態度で感謝を伝える
- 9. 仕事の半分は人を育てること
- 10. 自己研鑽し、日々進化する
これらは花原社長自身の心の動きや戒めを、書き出したもの。単なるスローガンではなく、日常業務に紐づく文脈を持たせることで、社員が意味を理解した上で実践できるよう設計されています。
社員の日々の行動、お客様への向き合い方など、31の具体的な考え方で構成された日めくりカレンダー、「マークスイズム」
評価制度もこの行動指針に連動させています。全社員が匿名の360度評価を受け、社長も例外ではありません。営業成績が高くても、人格評価が低ければ昇進しない。「成果には報酬を、人格には役職を」という方針を、制度として担保しているのです。
理念が形骸化しない構造は、採用・評価・経営者の行動・事業設計——そのすべてが同じ方向を向いているかどうかにかかっています。
理念に共感する人材と協力者を集め、不動産の枠を越えた次の挑戦へ
終始一貫した理念や行動指針は、社内だけでなく社外にも大きな影響を与えています。
現在マークスライフの特別顧問として参画する野口謙吾氏は、三井住友信託銀行副会長時代に花原社長と出会い「不動産をやっているのではなく、社会課題の解決をしている会社だ」と深く共感。「応援したい」という気持ちから、顧問料などは度外視で協力を申し出たのだといいます。
「今後の空き家市場は一層厳しくなります。少子化が進み、2025年の出生数は70万6000人程度と、第二次ベビーブーム時の約211万人から激減。住む人は増えない一方で空き家は増え続けます。真の解決には、二拠点・三拠点生活のシェアリングや外国人向け賃貸、地方のブランディング、商業施設の誘致といった、不動産の枠を超えた取り組みが必要になります」(花原氏)
マークスライフはすでにその準備を始めています。葬儀・介護・医療などの業種とのアライアンス、事業承継に悩む企業や先行きが不透明な企業との提携・M&Aを積極的に推進。「できるかは分かりませんが、『原則断らないM&A』を目指しています」と花原社長は語ります。
不動産会社から、総合生活支援企業群へ。同社の躍進は続きます。
企業情報
- 会社名:マークスライフ株式会社
- 代表取締役:花原 浩二
- 本社:東京都中央区
- 設立:2016年
- 事業内容:不動産買取事業、不動産仲介事業(売買仲介および賃貸仲介)、不動産活用コンサルティング事業

